星ヶ丘厚生年金病院
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病院のご案内
眼科


■当科の特色

角膜専門外来

角膜移植術も昨年より再開しました。真菌性角膜炎やアメーバなどの角膜感染症はもとより、水疱性角膜症や再発翼状片などの難治な前眼部疾患も診療しています。角膜専門外来を担当している佐々木先生は日本眼感染症学会の理事・評議員であり、豊富な経験をいかして難治な前眼部疾患を精力的に診療しています。

白内障手術

超音波白内障手術装置 (アルコン社インフィニティ)を用いて2.4mmの小切開白内障手術を行っています。乱視の強い方には乱視が軽減するような乱視矯正用人工レンズを使用することもできます。また、患者様のご希望により遠近両用人工レンズも選ぶことが可能ですが、この場合は保険診療ができませんので遠近両用人工レンズをご希望の場合は担当医にご相談ください。当院では術後の安全のために入院治療を原則としていますが、患者様のご希望により日帰り手術も行っています。入院期間につきましては、眼の状態と患者さんのご都合に合わせて相談させていただきます。

網膜・硝子体手術

増殖糖尿病網膜症、網膜剥離、網膜静脈分枝閉塞症、黄斑円孔、黄斑浮腫などの重篤な網膜疾患に対して、硝子体手術を行っています。当院の硝子体手術は全例で小切開硝子体手術(25G、23G)を施行しています。また、広角視野システムとキセノン光源を導入し、手術の安全性の向上に努めています。

黄斑浮腫

糖尿病網膜症や網膜血管閉塞症による黄斑浮腫には、院内の倫理委員会で承認を得、院内調剤したアバスチンの硝子体内投与も行なっています。
また、難治な黄斑部浮腫に対して網膜可視化剤を用いた網膜内境界膜(ILM)剥離術を施行しています。網膜可視化剤にはブリリアントブルーG(BBG)という薬剤を院内で製剤化して使用しています。BBGは従来の網膜可視化剤であるインドシアニングリーン(ICG)に比べて網膜毒性が低く、逆に網膜保護作用が報告されている、より安全な薬剤です。

黄斑円孔

黄斑円孔に対して、硝子体手術を行っています。

網膜剥離

網膜剥離に対して、レーザー手術、バックル手術、硝子体手術を行っています。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性に対して、いちはやく眼科PDT療法を取り入れました。また現在では数多くの抗VEGF療法(ルセンティス、アイリーア)を行っています。

緑内障手術

現時点で最も効果のある緑内障の治療は眼圧を下げることです。眼圧を下げるためにまずは点眼薬を使用しますが、当院では点眼薬やレーザー治療でも視野が悪くなる方には、積極的に緑内障手術を行っています。最近、早期の緑内障手術が長い目で見た場合に視野の悪化をより防ぐことが示されました。手術術式も改良が重ねられ、以前に比べて安全な手術ができるようになっています。当院で行っている緑内障手術は線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)と線維柱帯切断術(トラベクロトミー)です。

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)とは

眼の中では「房水」という透明な血液が常に作られ、「線維柱帯」という網目を通って眼の外に出ていきます。 トラベクレクトミーは房水の出口を新しく作る手術です。白目の膜(結膜)と、眼球の壁(強膜)を切開して、房水が結膜の下に出るように出口を作ります。ただ出口を作っただけでは水が流れすぎて、眼圧が低くなりすぎるので、出口には数本の糸をかけておきます。また、傷がすぐに治ってしまうと、出口がふさがって水が流れ出なくなりますから、傷の治りを遅くする特殊な薬を使います。最後に結膜を縫い合わせて、房水の貯まる袋(濾過胞)ができるようにします。手術時間は順調にいけば1時間程度です。

線維柱帯切除術

術翌日から、眼圧が高い場合には、水の出口にかけてある糸をレーザー光線で切ることにより、房水の出る量を増やします。糸を何本も切っても眼圧が下がりにくい場合には、針を刺入して出口を広げる処置が必要な場合もあります。逆に房水が出過ぎて眼圧が低すぎる場合は、自然に傷が治って水の流れが少なくなるのを待つことがあります。

手術がうまくいった場合、眼圧は非常に低くなるため、1ヶ月ほどはボヤッとしてかなり見えづらくなります。しかし眼圧が上昇するにつれ視力も徐々に回復してきます。3ヶ月ほどたっても眼圧が低すぎて見えづらい場合は眼圧を上昇させる処置が必要になることがまれにあります。

線維柱帯切除術では、ときに下記のような合併症を生じることがあります。

  • 結膜に穴が開き、水が漏れて袋ができない。
  • 眼の奥で大きな出血を起こす。
  • 術後に何年もたって袋が弱くなった場合はばい菌感染の心配がある。

これらの合併症が生じた場合には、それに対処するため手術時間が余計にかかったり、術後視力の回復がほかの人より遅くなったりします。以上のようにトラベクレクトミーは強力に眼圧を下げることができる反面、数十人に一人の割合で術後の視力が低下することがあり、利点も大きい反面、副作用も大きい術式です。しかし、それでもこの手術をしないと失明してしまう危険の高い患者さまは多く、現在でも必須の術式です。トラベクレクトミーの最大の合併症である術後晩期の濾過胞感染症は大規模研究では2年半で1.5%と報告されています。幸いにも当院ではまだ濾過胞感染症は発生していませんが、万一濾過胞感染症が起きた場合には濾過胞感染研究班の推奨治療法を早期に実施できるよう準備しています。このように適切な治療を早期に実施することにより、濾過胞感染症の視力予後は改善され、最近では感染症が発症しても77.4%の人が視力を維持できると報告されています。

また、昨年からはエキスプレスと呼ばれるステンレス製のインプラントを使用することが多くなっています。これにより上に書いた合併症が少しでも減らせるのではないかと期待されています。

線維柱帯切断術(トラベクロトミー)とは

線維柱帯という網目が目詰まりを起こして、房水が下水管へ流れにくくなっている場合は、その網目を切開して房水の流れをよくすることができます。この網目を切開する手術をトラベクトロミーといいます。

線維柱帯切断術

当院では現在、普通のトラベクロトミー、360°トラベクロトミー、トラベクトームと3種類のトラベクロトミーを行っています。3種類とも同じ術式ですが、切開部位などが若干違います。それぞれに利点と欠点がありますので、当院では患者様の目の状態に合わせて一番良いと思われる方法を選択しています。また、どの方法でおこなっても手術にかかる費用は変わりません。

○普通のトラベクロトミー

白目の膜(結膜)を切開した後、眼球の壁(強膜)を切開して、下水管(シュレム管)を探します。その中に細い針金のような器具を入れて、網目を三分の一周ほど(120度)切開します。最後に傷口を縫い合わせて手術を終了します。手術時間は約20分です。

手術の際、眼の中に血液が逆流しますので手術前より一時的に見え方が悪くなりますが、出血の吸収とともに徐々に回復してきます。この出血は1週間程度で吸収しますが、その頃に眼圧が一時的に上がることがあります。多くの場合は点眼薬、内服薬などで眼圧を下げるようにします。それでも眼圧が下がらないときは、追加手術が必要な場合もあります。トラベクロトミーはトラベクレクトミーに比べてばい菌に強く安全で術後の視力低下もありませんが、残念ながらトラベクレクトミーほど眼圧下降効果は高くありません。また切開創が治ることにより数年で効果がなくなってしまったり、追加手術が必要になることがあります。

○360度トラベクロトミー

結膜と強膜を切開して、シュレム管を探すところまでは普通のトラベクロトミーと同じです。シュレム管を露出した後、ナイロンの糸で全周(360度) の線維柱帯を切開します。うまく全周を切開できると術後の出血が少し多くなりますが、眼圧下降効果が比較的良いといわれています。手術時間は約30分〜40分とやや時間がかかり、約30%の方は目の状態によって全周に糸を通せない場合があります。その場合は普通の方法を施行します。

○トラベクトームを用いたトラベクロトミー

2011年から保険医療で行えるようになった新しい方法で、結膜・強膜は切開せず、反対側の角膜から器具を挿入して90度の線維柱帯を切開します。他の方法に比べて創がきわめて小さく、術後は創がほとんどわかりません。また、結膜・強膜を切らないために手術の侵襲が少なく治りが早いという利点があります。特に緑内障の方にとって結膜は大事な部位ですのでこれは大きなメリットです。眼圧下降効果は普通のトラベクロトミーに比べて同程度といわれています。手術時間は約5分です。

トラベクトームはアメリカではその安全性と有効性のために急速に広がっている術式です。この手術を施行できる医師は2段階にわたるトラベクトーム研究会の研修と承認が必要なため、トラベクトームは十分なトレーニングを積んだ医師により施行されます。現在関西圏では大学病院を含めてトラベクトームを導入しているのは当院だけです。

トラベクトームを用いたトラベクロトミー

眼科部長 大浦淳史

大阪大学医学部卒業、日本眼科学会専門医、眼科PDT認定医、日本緑内障学会会員、トラベクトーム認定トレーナー、日本網膜硝子体学会会員、身体障害者福祉法指定医


■当科の診療担当医

診療担当医 専門・認定等
部長
大浦 淳史
Atsushi Ooura
  • 日本眼科学会専門医
  • 眼科PDT認定医
  • 身体障害者福祉法指定医
医長
田中 智明
Tomoaki Tanaka
  • 日本眼科学会専門医
  • 眼科PDT認定医
嘱託医員
佐々木 香る
Kaoru Sasaki
  • 医学博士
  • 日本眼科学会専門医
  • 日本眼科学会指導医
  • 日本角膜学会評議員
  • 日本眼感染症学会評議員・理事
  • ICD制度協議会認定ICD(Infection Control Doctor)