厚生労働省は、がん患者の5年生存率の20%アップという大目標(メディカルフロンティア戦略)をたて、平成14年3月がん診療連携拠点病院の設置を決定いたしました。正式には「大阪府地域がん診療拠点病院」といいますが、長く言いにくいので、一般的に「がん拠点病院」と呼んでいます。
我が国に多いがん(胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん、肺がんなど)について、がん診療情報の収集、分析および情報発信、医療機関相互の診療連携をはかり、最新の診療方法に関する研修会の開催など、がん医療水準の向上、均てん化(難しい言葉ですが「均霑」と書き、生き物が等しく雨露の恵みにうるおうように、各人が平等に利益を得ることという意味)を図るのが目的です。
すなわち、がん拠点病院のがん診療のいろいろな情報を集めれば、その病院の水準もわかるだろう。これら情報をホームページなどで広く公開し、だれでも高い水準のがん診療を平等にうけられるようにしよう。さらにがん終末期医療にたずさわることも多いので、緩和医療チームによる診療体制も整備しようというものです。
大阪府下を8地区に分け10病院を指定、当院は北河内地区のがん拠点病院に平成14年12月に指定されました。
現在までに緩和医療チームの結成、地域医療機関や保健所などとの研修会、さらに公開市民講座も開催、活発な活動を続けております。 日常診療におきましても、患者さんには十分なインフォームド・コンセントを行っておりますので、疑問やお悩みの点などがありましたら医師や看護師などにお気軽にお問い合わせください。 セカンドオピニオンについてもご相談、ご紹介もいたしております。
ちなみに下記の表は、1993〜1996年に登録されたがん患者の5年生存率を大阪府下全体、がん拠点病院10施設、当院を比較したもので、大阪府立成人病センター調査部のホームページで公表されておりますデータからいただきました。
| 部位 | 全大阪府 | 拠点病院10施設 | 当院 | |||
| 対象数 | 5年生存率 | 対象数 | 5年生存率 | 対象数 | 5年生存率 | |
| 胃 | 16,767 | 49.5 | 3,257 | 62.5 | 325 | 67.7 |
| 大腸 | 11,459 | 58.7 | 2,274 | 71.5 | 204 | 68.8 |
| 肝臓 | 9,451 | 14.7 | 1,431 | 28.6 | 121 | 23.1 |
| 肺 | 10,286 | 14.2 | 1,510 | 26.1 | 178 | 30.0 |
| 乳房 | 6,277 | 82.9 | 1,779 | 86.8 | 135 | 89.0 |
生存率は年齢やがんの性質、各がんの進行度などにより影響を受けますが、この表はそれらをひっくるめたものなのであまり正確とはいえませんが、当院の成績は大体どのくらいかの目安にはなると思います。
| がん種別 | 件数 |
| 胃がん | 83 |
| 大腸がん | 61 |
| 肝臓がん | 26 |
| 肺がん | 50 |
| 乳がん | 26 |
| その他 | 184 |
| 合計 | 430 |
| 術式により算出した件数 | |
| がん種別 | 外来 | 入院 |
| 胃がん | 221 | 51 |
| 大腸がん | 94 | 42 |
| 肝臓・胆嚢・すい臓がん | 138 | 29 |
| 肺がん | 669 | 93 |
| 乳がん | 264 | 178 |
| その他 | 415 | 270 |
| 合計 | 1,801 | 663 |
| 外来は注射剤による治療法の件数、入院は注射剤・内服を含む件数 | ||
| がん種別 | 外来 | 入院 | ||||
| 患者数(実) | 患者数(延) | 件数(延) | 患者数(実) | 患者数(延) | 件数(延) | |
| 胃がん | 2 | 30 | 30 | 1 | 10 | 10 |
| 大腸がん | 2 | 25 | 25 | 3 | 21 | 21 |
| 肝臓・胆嚢・すい臓がん | 6 | 40 | 40 | 6 | 32 | 32 |
| 肺がん | 32 | 335 | 342 | 82 | 822 | 866 |
| 乳がん | 82 | 888 | 918 | 1 | 10 | 10 |
| その他 | 85 | 1,067 | 1,083 | 46 | 473 | 473 |
| 合計 | 209 | 2,385 | 2,438 | 139 | 1,368 | 1,412 |
がんについての解説
がんの診療体制強化のためには、患者さんの実態を正確に知る必要があります。大阪府、大阪府医師会、大阪府立成人病センターが中心になり昭和37年より大阪府がん登録を開始、精度の高いデータの収集と分析を行い公表しています。当院も長年それに参加してまいりました。
今後は個人情報保護法に従い、がん患者さんのプライバシー保護について十分に留意し、患者さんの性別、年齢、がんの部位、組織像、進行度、検査・治療の内容、その後の経過などを院内に登録、国の指針に従って成人病センターへ報告を行っていくつもりです。公衆衛生学的、統計的な事実を把握することが基本となりますので、なにとぞご了解をお願い申し上げます。なお、どうしても登録にご協力いただけない方は、主治医にお申し出ください。
すべての治療法は、過去の患者さんのご協力から得られたデータをもとに作られております。臨床試験は、患者さんご自身が納得の上で協力していただける方を対象に、新しい治療法の治療効果や安全性などを検討したり、これまでの治療法と比べてどちらがよいかを検討したりする試験です。当院も、がん拠点病院としてよりよい治療を模索する立場をこれまでも、そしてこれからも担っていく義務があると考えています。
そのため、たとえば主として固形がんに対する標準治療の確立を目的とした多施設共同臨床試験を行っている大阪消化管がん化学療法研究会(OGSG)のメンバーとして、患者さんのご協力のもといろいろな臨床試験を推進しています。このように臨床試験の目的にそう患者さんがおられましたら主治医からお願いすることがあります。積極的なご参加をお願いいたします。
現在実施中の臨床試験・臨床研究の一覧は治験管理室のページをご参照ください。
緩和ケアとは
がんなどの治療が難しい病気と診断された方の、痛み・吐き気・息苦しさなどの身体的な症状を和らげたり、不安や抑うつなどの精神的な症状を和らげたりする治療や援助のことで、ご家族にも安心していただけるよう支援を行っていくことをいいます。
緩和ケアを受けるためには
本人またはご家族が希望され、さらに主治医が必要と認めた場合に緩和ケアを受けることができます。緩和ケアをご希望のかたは、主治医または看護師にご相談ください。
緩和ケアチームのご紹介
緩和ケアを行うため、以下のメンバーで構成されています。
- 身体的症状や精神的症状を担当する医師
- 緩和ケアを専門とする看護師
- お薬に関する情報提供や調整を担当する薬剤師
- お食事の工夫や相談を担当する栄養士
- 動きやすい方法を工夫するなど、リハビリを担当する理学療法士
- 生活や経済的な問題について相談を受けるソーシャルワーカー
- その他、病状に合わせて他職種の専門家
緩和ケアの具体的なすすめかた
ご本人またはご家族の方からの要望を受けて、主治医もしくは病棟看護師より緩和ケアチームに依頼が出されます。依頼を受けて緩和ケアチーム担当者がご本人のところに伺い、ご本人ご家族とお話をします。原則として、治療は主治医の方針に添う形で行っていきます。
具体的な緩和ケアの内容としては
- 薬物治療
- 神経ブロック
- カウンセリング
- リハビリテーション
- 栄養指導
などがあります。緩和ケアチームの担当者が、定期的に患者さんのお部屋を訪問し状況をお伺いすると共に、チームで患者さんとご家族のケアや、治療について話し合いを行っていきます。
当院では、地域の皆様の「がん」についての相談におこたえするため、医療相談室にがん相談支援センターを併設し、がんに関するご相談をお受けしています。「がん」に関する悩み・不安・疑問等の相談にご利用ください。がん相談は、当院の患者さんやご家族のかた、一般の方でも相談可能です。お気軽にご相談ください。
なお、がん相談にはご予約が必要です。来院された際に直接本館1階の「医療相談室・がん相談支援センター」にお越しいただき、ご予約をおとりください。
また、がん相談支援センターには各種がんに関する書籍や資料、文献検索のためのインターネット設備などをそろえております。





