がんについての情報は、たくさんの施設のホームページに掲載されております。大阪府立成人病センターはじめ、国立がんセンターや各地のがんセンター、各大学病院、全国のがん拠点病院などを中心にかなり詳しく書かれております。その中の一つとして当院のホームページもみていただき、参考にしていただきたく存じます。
もしがんになったら、どのように考え、どのような治療を、どこで受ければいいのか大変迷われると思います。最近はインターネットが普及し、いろいろなことが簡単に調べることができますが、情報量が多すぎてどれが正しいのか、どれが自分に当てはまるのか選択するのは大変です。
またその中には、私たちがどうしても首を傾げたくなるようなものもたくさんあります。私たちは実際にその最前線で治療にあたっている専門家ですが、がんについて少なくともこれだけは知っておいてほしいと思われることを簡単に分かりやすく書いてみました。
「がん」という言葉は皆様ご存知ですが、それでは悪性腫瘍、悪性新生物、癌、がん、肉腫、さらに良性腫瘍などとのちがいは? ときかれると少し返答に困られるのではないでしょうか。がん、悪性腫瘍、悪性新生物は同じですが、「がん」は主に臨床で、「悪性腫瘍」は主に病理学で、「悪性新生物」は主に統計学で使われているようです。
平仮名の「がん」には、漢字の癌、肉腫、白血病や悪性リンパ腫などが含まれます。一方、漢字の「癌」は癌腫と同じで、肉腫や悪性リンパ腫は含まれません。ですから一般に「がん」といいますと、悪性腫瘍(悪性新生物)全般のことで、胃癌や肺癌のような癌と白血病や骨肉腫のような肉腫のことを示します。
がんは、すべての臓器・組織から発生しますが、その由来により呼び方が違います。皮膚や胃・腸の粘膜など上皮性細胞から発生した悪性腫瘍を「癌」(英語ではcancer・carcinoma)、筋肉・線維・骨・脂肪・血管・神経など非上皮性細胞から発生した悪性腫瘍を「肉腫」(英語ではsarcoma)、造血臓器から発生した白血病や悪性リンパ腫などに大きく分類されます。
たとえば、骨は非上皮性のみで上皮性成分がなく、よって骨の悪性腫瘍は骨肉腫です。骨癌は存在しません。胃には胃癌も胃肉腫もあります。胃の壁は内側から外側へ向かって粘膜、粘膜下組織(大部分脂肪)、筋肉(平滑筋)、漿膜下組織、漿膜よりなっています。 そしてその壁の中に脂肪、血管、リンパ管、神経などが網の目のように張り巡らされています。胃の一番内側にある粘膜細胞から出来る悪性腫瘍を胃癌、粘膜以外から出来るものを胃肉腫といい、平滑筋肉腫や悪性リンパ腫などがあります。
一個の受精卵から発生した細胞は、分裂増殖を繰り返し皮膚や粘膜、神経などへと組織固有の形態・機能を持った成熟した細胞へと変化してゆきます。これを細胞分化といいます。
しかし、がん細胞では細胞増殖が活発に速く行われるため、細胞が十分に成熟することができず(細胞の幼若化といいます)未熟な細胞(低分化細胞や未分化細胞)が見られるようになります。
一般に、高分化(分化度が高い)ほど細胞の成熟度が高く、比較的悪性度が低いといえます。反対に、低分化ほど悪性度が高く、転移・再発が多く見られる傾向があります。
一個の受精卵から発生した細胞は、分裂増殖を繰り返し皮膚や粘膜、神経などへと組織固有の形態・機能を持った成熟した細胞へと変化してゆきます。これを細胞分化といいます。
しかし、がん細胞では細胞増殖が活発に速く行われるため、細胞が十分に成熟することができず(細胞の幼若化といいます)未熟な細胞(低分化細胞や未分化細胞)が見られるようになります。
一般に、高分化(分化度が高い)ほど細胞の成熟度が高く、比較的悪性度が低いといえます。反対に、低分化ほど悪性度が高く、転移・再発が多く見られる傾向があります。
- なぜがんになった?
- いつからがんに?
- いつまで生きられる?
- アガリクスなどは効く?
その答えは、
- 遺伝子の変化によります。ただし変化をきたす原因は、化学物質や放射線などいろいろあります。
- 通常眼に見える大きさになるには、5〜10年はかかります。
- がんの進行具合とそのがんの性質によります。
- 民間療法はたくさんありますが、いずれも一定の効果をいつも保つことができない不安定・不確実なものです。厚生労働省も薬とは認めていません。アガリクスは免疫性を高めるといわれているが、その値段もばらばらで効果も一定していません。
以上、がんについて簡単に述べましたが、がん細胞はあくまでも自分の体の中の自分自身の細胞からできてきたもの。言い換えれば悪いことばかりして本家を苦しめますが、自分の分身でもあるわけです。現在の医学では、未だこの分身だけを完全にやっつけることは無理といわざるを得ません。今できること、それはこの悪い分身をできるだけ早期に発見・早期に治療すること、そして患者さんはその分身と長く仲良く付き合えるように、心も生活も切り替えていただくのが大事なことと思います。私たち医療関係者は、そのお手伝いをするのが仕事であると心得ております。