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乳がんについて

 乳がんが増加しています。現在女性のがんによる死亡原因の第2位になっています。乳がんと診断されるのが怖くて手遅れになってからこられる方が少なからずおられます。

 しかし、乳がんは他のがんと比べて比較的たちがいいのです。それは、発育・進行が緩やかなこと、適切な処置により根治可能なこと、相当進行・再発しても、根治は困難であるが症状に応じた有効な処置方法があるからです。怖がらずに早めの受診をお勧めします。

乳がんとは?

 乳腺はたくさんの小葉から成り立ち、それらは互いに細い乳管でつながっています。授乳期には小葉で乳汁を作り、乳管を通り乳頭から出てきます(下記図1)。乳がんはこの乳腺内の細かく枝分かれした乳管から、一部は小葉から発生します。がんが進行すると、乳管に沿ってあるいは周囲へ広がる浸潤性発育とともに、リンパ管に入ってまずわきの下のリンパ節に転移するリンパ行性転移、血管内に入って肝、肺、骨など他臓器に転移する血行性転移などが起こります。

乳房の構造 乳がんの転移

図1)乳房の構造

図2)乳がんの転移
乳がんの症状

 シコリは重要な症状ですが、乳房の他の病気にも見られますので乳がんに特有ではありません。時に皮膚のひきつれ、乳房の変形、乳頭からの血性分泌物が見られます。痛みは原則的には関係ありません。進行すると皮膚が赤くなり、ただれて潰瘍を作り悪臭や出血を伴うようになります。

乳がんの診断

 熟練した医師なら視診・触診で大抵診断がつきますが、通常乳腺撮影、超音波検査を行います。乳がんが疑われる場合、必ず細胞診あるいは組織診を行い顕微鏡でがん細胞を確認します。

 細胞診は、乳頭分泌物やシコリに注射器を刺して吸引し細胞を採って調べます。組織診は、手術的にシコリを一部または全部を摘出するので、もっとも確実に診断を得ることができます(入院は不要です)。

進行度(病期)

 4段階に分類されています。目安として、シコリが2cmまでのものを1期、2cm〜5cmまでを2期、5cm以上か、乳房の皮膚変化や高度なリンパ節転移のあるものを3期、骨や肺などに転移のあるものを4期に分類しています。

乳がんの治療方法

 次の四つがありますが、通常手術とともにそれらを併用します。

  • 手術療法
    乳房切除術と乳房温存術の二通りがあります。乳房切除術は、がんが大きかったり乳腺内浸潤が強い場合に乳房全部をとる手術です。乳房温存術は、シコリを含めてある程度の範囲の乳腺を切除します。変形は残るものの乳房のふくらみを残す美容上好ましい手術方法といえます。最近、小さながんではどちらの手術方法でも生存率が変わらないことが明らかにされ、乳房温存術を積極的に行うようになりました。ただし、残した乳腺内にがん細胞が遺残することがあり、術後に放射線を当てます。乳がんはわきの下のリンパ節に転移しやすいので、いずれの手術でもわきの下のリンパ節を取ります。
  • 放射線療法
    乳房温存術後の残存乳房への照射は、外来通院で5週間かかります。再発・転移の場合、皮膚や骨など再発した局所に当てます。
  • 化学療法
    抗がん剤は術後の再発予防や再発・転移に行います。種々の抗がん剤がありその副作用もいろいろですが、強い場合には完全脱毛や嘔気・嘔吐、白血球減少などが見られます。
  • 内分泌療法
    乳腺は女性ホルモンに強く影響されます。乳がん細胞もその影響を受けていることが多く、女性ホルモンを抑えるような薬でがんを抑えようという治療法です。
乳がんの進行と再発

 大変進行したがんでは、まず化学療法で病変をある程度小さくしてから手術します。転移・再発した場合は、種々の治療法を組み合わせて行いますが、根本的な治療は困難です。

 疼痛緩和など対症療法しかできないときもあります。しかし、乳がんは他のがんと比べゆっくり進行することが多く、がんと仲良く付き合いながら社会生活を送っておられる患者様がたくさんおられることを付け加えておきます。

入院期間

手術だけでは約2週間の入院です。術後の放射線治療や抗がん剤治療は、通常外来通院で行います。

下図は当院外科における乳がん手術症例の10年生存率です。(乳がんの手術後乳がん以外の病気でなくなられた他病死も含まれています。他のがんと比べ、10年生存率であることにご注目ください。)

乳がん10年生存率

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